糖尿病の食事療法について知りたい人向け。
当記事では、糖尿病の食事療法を勉強しようと思っている人に向けて糖尿病の食事療法とは何かを説明しているので、糖尿病の食事療法を勉強したい人や興味のある人はぜひご覧ください。
糖尿病とは
まずはじめに糖尿病について少しだけ説明します。
糖尿病とは血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が何らかの影響で減少したり、インスリンの働きが悪くなってしまうことにより慢性の高血糖になる病気です。自己免疫や遺伝因子が原因で起こる1型糖尿病と主に生活習慣が原因で起こることの多い2型糖尿病があり、糖尿病患者のほとんどの人が2型糖尿病に当てはまります。また、糖尿病は合併症が起きやすく、糖尿病神経症、糖尿病網膜症、糖尿病腎症が三大合併症と呼ばれています。
2型糖尿病
2型糖尿病とはインスリンの分泌は少し減っているが、それよりもインスリンの働きが悪い状態になっています。重症化するとインスリンの自己注射などを打つインスリン依存性になりますが、多くの場合は非インスリン依存性のため基本的には食事療法や運動療法が行われます。
糖尿病の食事療法
糖尿病の食事療法は、日々の血糖コントロールを行いながら、合併症を防ぐ目的で行います。
目標体重
糖尿病の食事療法は、まず自分の目標体重を決めることから始めます。目標体重の決め方はいろいろありますが、1つの例を挙げておくので参考にしてみてください。
65歳未満 【身長(m)】²×22
65歳以上 【身長(m)】²×22~25
160cmの場合
(1.6m)²×22kg/m²=56.32kg
目標体重約56kg
エネルギー
必要なエネルギー量は運動量や体格などの要因が関係するため、人によって異なります。そのため目安のエネルギー摂取量の求め方を紹介します。
1日の目安エネルギー量=目標体重×エネルギー係数
エネルギー係数の目安
軽い労作(1日のうち座位の時間が長い)25~30kcal/kg
普通の労作(通勤・家事・軽い運動をする)30~35kcal/kg
重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある)35kcal/kg~
目標体重56.3kg、普通の労作の人の場合
56kg×30~35kcal/kg
=1680~1960kcal
目安エネルギー量は約1800kcal
炭水化物
炭水化物は摂取エネルギー量に対して、極端な糖質制限を防ぐために50~60%を目標にします。
1日の炭水化物必要量=目安エネルギー量×炭水化物割合(50~60%)
1800kcal×50~60%
=900~1080kcal/日
エネルギーでは約950kcal/日
炭水化物は1g=4kcalになるので
950kcal÷4kcal=237.5g/日
約230g/日の炭水化物が必要
炭水化物は、血糖値を上げる原因だと思われがちですが、実は血糖値を下げる役割もあります。炭水化物は大きく2つに分けることができます。
まず、エネルギーになる糖質です。糖質は血糖値上昇に大きく影響する栄養素です。糖質の中でも単純糖質と複合糖質に分けることができ、単純糖質は消化吸収が早く行われるため急激な血糖値の上昇につながってしまいます。そのため、単純糖質の過剰摂取には気を付けましょう。複合糖質は単純糖質に比べて、消化吸収が緩やかに進むため、急激な血糖値の上昇を抑えることができます。
次にほとんど消化吸収されない食物繊維です。食物繊維は腸管からの糖の吸収を遅延させて食後の高血糖を抑制する作用があります。また、血中脂質の改善効果も期待できることから、合併症である高トリグリセリド血症の予防にも効果が期待できます。
たんぱく質
たんぱく質は摂取エネルギー量に対して、1.0~1.2g/kg(目標体重)を目標にします。
1日のたんぱく質必要量=目安エネルギー量×体重1kg当たりのたんぱく質必要量
56kg×1.0~1.2g/kg
=56~67.2g/日
約60g/日のたんぱく質が必要
たんぱく質は1g=4kcalになるので
60g/日×4kcal=240kcal
エネルギーでは、240kcal必要
たんぱく質の過剰摂取は、合併症である糖尿病腎症を引き起こす可能性があるので、摂りすぎには注意しましょう。
脂質
脂質は炭水化物とたんぱく質の量を設定した後の足りないエネルギーを補います。
もしくは、摂取エネルギー量に対して20~25%を目標にします。
1日の脂質必要量=目安エネルギー量×脂質割合(20~25%)
1800kcal×20~25%
=360~450kcal/日
エネルギーでは約400kcal/日
脂質は1g=9kcalになるので
400kcal÷9kcal=44.4…g/日
約45g/日の脂質が必要
脂質は食後すぐの血糖値の上昇にはつながりませんが、少し時間がたってからの血糖値上昇につながるので、1度の食事での食べすぎに気を付け、3食でバランスよく食べるようにしましょう。また、合併症である高トリグリセリド血症の予防のためにも飽和脂肪酸の過剰摂取には注意し、植物性油脂や魚油から摂取することを意識しましょう。
食塩
食塩の過剰摂取は高血圧に繋がります。
そのため、男性は7.5g/日未満、女性は6.5g/日未満に抑えたほうが良いです。
野菜
野菜の目安量は毎食100g以上、1日350g以上です。
糖尿病の食事療養にとって野菜は血糖値を避ける効果のある食物繊維が多く含まれているため、切っても切り離せないものです。
しかし、野菜だからといってすべての野菜が推奨されるわけではありません。野菜の中には、糖質がたくさん含まれるものもあるため、糖質が少なく食物繊維を多く含む野菜を選びましょう。
まとめ
糖尿病は治ることのない1度患ってしまうと一生付き合っていかなければならない病気です。
そのため、重症化予防が非常に大切になってきます。その重症化予防に食事療養はとても大きな影響をもたらします。
全くわからない人からすれば「ムズカシそう…」と感じるかもしれませんが、1度覚えてしまうと一生役に立つのでぜひ勉強してみてください。
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